カフェレーサーの代名詞として呼ばれるZ1‐R。カワサキ空冷四発の角Zでありながらも旧きヨーロピアン レーサースタイルを感じるのはシャープなボディラインとビキニカウルから連想されるものであろう。そんな Z1‐Rをベースに製作されたこのRCM‐608は遠き南国の地からオーダー頂いたものである。オーナーの 考え方としては「旧車を旧車然として」ではなく「旧車だからこそ手を加える」と言う想いがあり、それ故に RCMのコンセプトは正に一致する方向性であった事。であるならば、数多のZ系RCMがそうである様に このRCM-608もスポーツバイクの資質とベストコンディションを追求して製作された。

肝心要のフレームは 定番のコースであるレーザー測定ストレッチ・オリジナル補強ステージⅡ・ワイドレイダウン・ドライブチェーン ラインオフセット対応インライン処理を施して17インチホイール専用に造り込む。前後ホイールはイタリア O・Zレーシング製アルミ鍛造GASS RS-Aを用いて17インチ化。OHLINS製サスペンションやBrembo製 ブレーキパーツなど世界随一の老舗メーカーアイテムだけを採用してローリングシャシーを構築している。 エンジンは、サンクチュアリーの内燃機加工における屋台骨を支えるディンクスが担当。精密な高精度に 徹底して拘るディンクスの内燃機加工はエンジンそのものの調子に直結する仕上がりで、そのクオリティは 高い。完調になったエンジンにヨシムラミクニ製TMR-MJNキャブレターとASウオタニSP‐Ⅱが加わり、 ナイトロレーシング製チタンマフラーがマッチング。

大排気量化されたパワーパッケージコースでなくとも 街中やワインディングロード、そして高速走行において不満のないフィーリングである。エンジン特性と それを受け止めるシャシーの関係性はそのバイクの性格を決め付けする要素であり、トータルバランスに 優れた一台に仕上がっていると言えるだろう。Z1‐Rならではのビキニカウル内に収納されたメーターは オリジナルの3連で、ワンオフしたパネルに3種のSTACK製ステッピングメーターがビルトインされている。 ネイキッド仕様では中々難しい仕様のメーターに出来たのはビキニカウルを有するZ1‐Rならではの特権 なのかも知れない。Z1₋Rらしい個性をそのままとしながらも、さり気ないオリジナリティを加えたRCM-608。 オーナー念願のオーダーメイドマシンである。