このRCM-551のオーナーは、既にRCM-451を所有しているオーナーである。その451はZ1-RのⅠ型で セパレートハンドル仕様のカフェレーサースタイル。Ⅰ型Z1-Rの"らしさ"を前面に出した仕様であるのに対し この2台目となる551は、同じZ1-RでありながらもⅡ型をベースにしたアップハンドル仕様車で、Z1‐R同士で あってもそのキャラクターは大きく異なっている。

17インチホイールシャシーである451に対して、この551は 18インチシャシーで造り込んだZ1-Rであるから、見た目も乗り味も全く異なるZとなっており、故に2台目も同じ Z1-Rを選択した事には明確なコンセプトが存在した。17インチと18インチ、それぞれどちらにも利点がある。 速度レンジの高い走行ではタイヤをつぶしてグリップ性能を発揮する17インチがタイヤの性能進化も相まって 有利である事に変わりはない。だが、低速走行が続く街乗りにおいては、車体をリーンさせやすい18インチに 軍配が上がる。その乗り易さと扱い易さは乗り手に優しく、18インチホイールならではのハンドリングである。 全く個性の違うZ1-RをⅡ型で製作する事がこのマシンのコンセプトであり、18インチホイールに合わせて フロントフォークは38㎜径のものをチョイス。スイングアームも大きく幅広ではないSCULPTURE製の18インチ 専用セミワイドを採用。リアサスレイダウンも18インチ仕様のジオメトリで加工した専用ローリングシャシーと した。硬すぎないフレームとそれにマッチングさせた足回りの剛性バランスは運動性能に大きく影響する部分で あるから、軽視できない重要な組み合わせである。

エンジンはライフパッケージコースでオーバーホール性に 重点を置いた仕様。ノスタルジック路線の18インチ車ながら吸排気系は性能重視のパーツを用い、そこに 点火系もASウオタニSPⅡを組み合わせてトルク&パワーのフィーリングは現代的水準にした。面白いのは テールカウルとシートをMK-Ⅱ用にした所で、これはオーナーリクエストによるもの。ルックスも個性化を図る べく変更したものだが違和感はない。Ⅱ型Z1-Rは生産台数も少なく、近年の空冷Z枯渇からもはや入手は 厳しい機種となったが、ヴィンテージ車両だからと言ってオーナーはノーマルに拘る事なく手を加えている。