一見するとシリアルナンバーRCM‐001ではと見間違えるかの如くビジュアルがそっくりなRCM-526。 セパレートハンドル、シングルシート、そしてパールホワイトをベース色にしたZ1‐Rとなれば、それだけで 充分RCM-001仕様だと言えるだろう。オーナーは何も001のレプリカを造るのが目的ではなかったが 自分の理想を具現化するとこのスタイル、このカラーリングに至ると迷いなく語っていた。RCM-001は サンクチュアリーのRCMにおける旗艦モデルの1台であり、また原点たるマシンでもあるから、それと酷似 する事自体は別段おかしな事ではない。

むしろ001は今やA16Rとして新生しているだけに、Z1‐R時代の 面立ちを思い出されるか如く、懐かしさと新鮮さが同居した様な存在のマシンであるとさえ思えた。そんな RCM-526、ベース車はオーナー持ち込みよるものでスタートはフレームとエンジンだけであった。最初は 足回りとフレームの加工のみの作業依頼だったが、最終的には全てサンクチュアリーのファクトリーで完成 までと言うリクエストに至り、RCMシリアルナンバーが付帯されたと言う経緯だ。

フレームはシートレールの 後部をアルミ角パイプで全て新設。合わせてインナーフェンダーやナンバーステーと言った装備も製作し、 立体的な造形で魅せるTOMO FRP製シングルシートにはストリートユースを考慮した小物入れを設けた。 タンクはビーター製のアルミタンクで、アッパーカウルもZ1‐Rのノーマル形状だが、カウルのスクリーン エンド部形状にアクセントを加えた001仕様で、より近代的なスポーツバイクのフォルムを強調している。

そんなアッパーカウルは、これまたRCM Z1‐R十八番のフレームマウント形式。ステアリングステムに カウルやメーターと言った装備を取り付けしない事からハンドリングはストレスフリーとなり飛躍的に向上。 フレームマウント式のZ1‐Rはノーマルと乗り比べれば誰でもわかるほどに、その軽快性を体感するから シャシーカスタムにおいて非常に有効な手法であると言える。ただし、アッパーカウル本体が前方に大きく 張り出すのでスタイルも当然変わって来る。各部クリアランスを徹底して詰め、ルックスと実用機能の両面を 求めるのが原則として大事だ。機能を重視したら見た目が悪くなった。あるいは見た目を追求したら機能が 犠牲になったでは本末転倒と言うもの。あくまでも機能と見た目、どちらも水準に達して始めてRCMである から拘りの造り込みポイントでもあった。

シャシーは前後17インチ仕様で、OZレーシングホイール、Brembo ブレーキ、OHLINSサスペンションと、世界最高峰メーカーの逸品だけで構成。一流メーカーの製品には 独特の存在感があり、もちろんそこには性能と言う名の信頼性も在るからもはや迷う事のない選択である。 そんなローリングシャシーに搭載されたエンジンは耐久性に重点を置いたオーバーホール主体のRCMライフ パッケージ。そこに吸排気系と点火系パーツのアップグレードを加えて十分なトルク&パワーを得ている。 機内面はもちろん、ビジュアルも含めてRCMのアイデンティティーを身に纏った、RCM-526 Z1‐R。 誰しもが一目でRCMであるとわかる、そんな仕上がりの1台である。