世界的に個体数が枯渇し入手が難しくなった空冷Z系車両だが、未だに問い合わせやオーダーが絶える事がない。 厳しい時代ながらもそれに応えるべく、造り手側もベース車探しから製作に至るまで惜しみない努力をしているから 未だにZ系RCMは年間で30台ほど輩出されているのが実情だ。このRCM－531も、大阪在住オーナーの期待に 応えるべく製作された1台で、RCM十八番の17インチホイールシャシーで造り込まれている。足回りにはRCMに 相応しき世界選手権で多用されているトップメーカー品を採用。充実したパーツで構築されている。

エンジンに関し ては生産されてから45年以上もの年月が経過しているだけに、オーバーホールには予算と時間をかけている。 全てを網羅し切るのは難しいが、それでも最新のエンジンパーツを採用した上でコンディションアップに欠かせない 精密内燃機加工を多数施している。キャブレターや点火系はアッセンブリーで新品交換が可能な部分で、現代の 最高水準たるアイテムへ換装。あわせてマフラーにはナイトロレーシング製の最高峰ウェルドクラフトチタンEXを 奢り、吸排気&点火系のマッチングからトルク&パワー共に不満のない仕上がりだ。馬力が上がった45年物の エンジンに対する配慮も忘れてはいない。圧倒的な高性能を誇るトロコイドローター式のハイプレッシャーオイル ポンプKITも装備し油温の上昇を抑制。空冷と言う限られた冷却構造の中で循環系統を強化するのは効果的で あり、Z系エンジンには不可欠な装備であると捉えられる。パワーを追求するだけでなく熱を抑制する対策部品を 意識する事は旧いエンジンだからこそ必要不可欠と言えるだろう。

最終的にキャンディカラーの火の玉でオール ペイントされたRCM－531だが、全体から醸し出される雰囲気は存在感の強いもの。オーラを纏っているかの 如くさえ感じさせられる出で立ちだ。Z‐1も今や世界中で価格高騰しており状態の良い個体も見つからなくなって 来ている。ノーマルの要整備車でも300万円越えが当たり前と言う時代になっただけに、ノーマル車を購入して そこから更にお金と時間をかけて徹底整備すると言うスタイルに無理が出始めているのかも知れない。むしろ 始めから完調・完璧なマシンをと言うリクエストは多く、故に未だ問い合わせやオーダーが絶える事ないのだろう。

このRCM－531もそんなオーナーの希望に応えた仕上がりで完成。ロードテストで走らせれば、あきらかにZ‐1 本来の動性能を凌駕したノーマル車と乗り比べして貰いたい変化があり、生産から45年もの年月を経過した マシンとは思えない、そんな1台である。