RCMはこれまでも海外からオーダーを頂き、製作された車両が何台か存在する。このRCM－513もイギリスから 問い合わせが入り、その後オーダーメイドで製作された車両である。既に遥々海を渡って遠くイギリスへと納車されて いるが、マシン造りもさながら、注文を頂くにあたり当然の事ながら英語で受け答えを行うのが海外からのオーダーに おいて難しい部分の一つでもある。カスタムコンプリートバイクをオーダーメイドで製作するとなると、どうしても日本語 英語的な表現が入り翻訳の誤差が生じやすい。また専門用語も正しく翻訳されているのか判断が付きにくい事から、 メニューの受け答えから難易度が高いと言える訳である。

そんな間違いが起こりやすい状況を避けるべく、オーナーは 過去に製作されたRCMのシリアルナンバーで好みを指定。このRCM－513では全体的なイメージはRCM－475で、 外装カラーとサイレンサーはRCM－283と言った風な指示である。もちろんそれ以外に個性化を図った部分もあって、 それらはシリアルナンバーだけではカバーし切れなかったが、専門用語が多用されなければコミニケーションは何とか 成り立つ訳であり、こういった工程を経て完成に至っている。シャシーはRCMご用達の前後17インチホイール仕様で、 元々モチーフとなったRCM－475同様、最高品質の足回りパーツで固めている。イギリスでもO・Zレーシングホイール・ Bremboブレーキ・OHLINSサスの3つは世界最高峰メーカーとして広く認識されており、パーツメーカー選択の説明は 全く必要もなくオーナーも満足してくれている様である。RCMはエンジンや電装系を筆頭にとにかく細かく、細部まで 拘った仕上がりで製作される。

完成後は100km~200kmに渡って試乗ロードテストが施され問題がない事を確認 した上で納車されるのだが、このRCM－513もそれに従った形で一端日本で登録をしロードテストを行っている。テスト 走行後は登録抹消して輸出されてしまうので、わずか1~2週間のロードテストの為に車検を取得している訳なのだが、 そんなコストを掛けたとしても最後のテスト走行は欠かす事の出来ない要素だ。製作の工程や完成後の姿形だけが RCMの全てではない。ロードテストにこそ最後の価値があると言っても過言ではなく、そのフィニッシュを持って始めて RCMは完成したと言えるからである。乗り手が日本人であろうと海外の人間であろうと、この点においての違いはない。