状態の良い中古車が年々減少しているGPz900R Ninja。10年程前まではA12以降の年式車であれば まずそこそこコンディション良い車両が多かったものだが、近年はそういう訳でもない。A14以降のモデルで 1万キロ前後の少ない走行車でもない限り、何かしらの痛みやトラブルを抱えていると言っても過言ではない だろう。

RCM Ninjaスポーツパッケージシリーズはそんな状態良い車両をベースに主に足回りや吸排気系、 ボディパーツと言ったセクションだけ手を加えていたコンプリートマシンであったが、最近の中古車Ninja事情 にあわせて、2016年にエンジンフルオーバーホールと電気系統のフルコンバートをメニューに加えた新世代 向きNinja スポーツパッケージ NewTYPE‐Rへとシフト。その後も若干のリファインを経て2020年仕様の NewTYPE‐Rへと辿り着いた経緯である。完璧を求めて見直されたNewTYPE‐Rのパッケージは、空冷Z系 RCM同様全てのセクションを作業対象にしたもので、その完成度は非常に高い。部分的に良くするではなく、 全てを良くすると言うコンセプトで造り込まれているだけに従来のTYPE‐Rとは充実度は大きくかけ離れた 仕様だ。

そんなNewTYPE‐R2020年度仕様のスタートエディション車をベースにデモンストレーション車両と してこのRCM‐520は製作された。デモ車であるからRCMクラフトマンシップ車両に属するマシンである。 スタートエディション車に追加されたアップグレードメニューで最も目を引くのは、新型OHLINS製倒立フォーク 2IFF5210の採用だろう。そこに装備されたBrembo製ラジアルマウントキャリパーはCNCのGP4‐RXで、 更に6本スポーク仕様のO・Zレーシング製GASS RS‐Aホイールと、世界最高峰メーカーの逸品パーツで 構成されている。左右のフロントマスターシリンダーもBrembo製CNCラジアルポンプで、ダートフリーク製の 新アイテムであるRCMコンセプトフライトレバーが目を引く所だ。

他にもSCULPTURE製スイングアームへの スタビライザー追加やヨシムラミクニTMR‐MJNデユアルスタックファンネルキャブレター。そしてSTACK製＆ Defi製の2つを組み合わせたオリジナルの3連メーターは、今までのRCM Ninjaでは見られなかった特徴と 言えるだろう。デモンストレーション車として製作されたRCMクラフトマンシップ車両なだけに、そのスペックは 非常に高い秀抜した仕上がりのマシンである。