空冷Z系ベース車の世界的枯渇が定着して久しいが、にも関わらず年間の空冷Z系RCMのオーダー数は 以前にも増して数が増えている。中でも難易度の高いMK‐Ⅱでの依頼は後を絶たず、サンクチュアリーでも 何とか期待に応えたいと日々奮闘が続く毎日である。沖縄県在住のオーナーが製作依頼されたこのRCM‐ 541も何とか実現に辿り着けた車両で、最初の予定とは随分メニューが変わって完成に至った1台である。

当初、RCMクラフトマンシップ車両でRCM MK‐Ⅱを探していたオーナーだが、沖縄から頻繁に連絡を頂く 熱意に対してある提案をする。再販売車両のRCM MK‐Ⅱが運よく出て来たらもちろんそれを提供すると 始まった事であったが、枯渇が続くご時世の中で短期間にそんな車両と都合よく出会えるケースは少ない。 ならばと提案したのが、最近増えつつあった一部に中古パーツを用いてコストを抑える手法。これならば RCMクラフトマンシップ車両に近い価格で提供できる。しかも立派にオーダーメイドでもあるから、外装の カラーリングや新品パーツ達のカラーも好みの色を選択できると言うメリットもあった。

早速このプランで製作 スタートしたRCM‐541。沖縄オーナーとの頻繁な打ち合わせは時にはメール、時には電話でと、綿密な やり取りを経て進んだ。用いた中古パーツは、前後O・Zレーシングホイール・前後ブレーキキャリパーと ディスク、そして左右マスターシリンダーなどで、どれも非常に状態良いものばかり。当然状態を再確認して 取り付けをしている。この時点で何とかオーナーの予算範囲になった事から、その他は全て新品パーツを 用いて製作。外装カラーリングまで含めてオーナー指定色で組み上げた。RCMシリアルナンバープレートを 付帯させる以上、作業内容とパーツメーカーの選択に関しては最低限の制約がある。

フレーム補強とそこに 関連する加工にエンジンフルオーバーホール、電装系や吸排気系、冷却系などこれは必須と言うメニューを 全て網羅した上で製作しているから確実にRCMである。クォリティーが確保されるなら、あとはオーナーの 好みを反映させ完成度高いマシンに仕上げるだけである。沖縄にはRCMオーナーが数多く存在するが、 このRCM‐541はどう成り立たせるか、オーナーとの綿密なやり取りを繰り返す中で実現させる事が出来た マシンであって、その事からもある意味記憶に色濃く残る存在になったRCMである。