その昔・・・ 今から30年以上も前の事・・・
その頃はZ750FXで ワインディングを攻めるのが好きだった。
当時の最新マシンに混じり 夢中になって走った懐かしい日々・・・
自分のFXは その頃すでに旧車で、新型バイクについて行くのに
必死だった事を 今もよく憶えています。
まだこの業界に入門したての 新米でしたが、何とか自分のFXを
無敵のマシンに出来ないか、そんな事ばかり四六時中 考えていた。
Bimotaを始めとする 欧米のコンストラクターが造り出した
高性能フレームに魅かれ、鈴鹿8耐を走るオリジナルフレームの
Zレーサーにも憧れた 若き日の想い・・・
自分のFXが 限界の壁を越えられるなら・・・
あの日、ワインディングロードで負けた 悔しい想いが
まるであの時から 時間が止まってしまったかの如く・・・
齢50を超えて 今もなお続く。
Radical Construction Manufacture USA、通称 RCM USAの
A16となって・・・
シリアルナンバー A16-002と 003 (その18)
今回は画像20枚の大増版、長編ブログにて ご紹介します。
フレーム塗装が完了し、いよいよ組み立て工程へ・・・
先ずはステムベアリングレースを 専用ハンマーで圧入します。
ステムベアリングは Zの企画サイズから、かなり大きなものへと
変更されている事は もうご存知でしょう。
それは上下共に 現行SSマシンと同じ企画サイスで、ベアリングの
耐荷重値は 非常に大きなもの・・・
ベアリングが大きくなったんですから、合わせてステムシャフトも
太く、より強いものにしないと シャフトの方が負けてしまうから
A7075超々ジュラルミンで削り出しされた ステムシャフトは
Zのものよりも はるかに大径化されたものに。
大径のステムシャフトに 大型のベアリングが組み合わさって・・・
これまた大径化された フレーム ステアリングヘッドパイプに
大型のベアリングレースが圧入される構造で、これで完璧。
1990年代から、筑波 TOF(現TOT)に 参戦し始めて
その頃からよく パドックで耳にして来た会話がある・・・
昔から長年 Zで激しいレースを続けて来たコンストラクター達は
「Zのフレームは何をやっても、どこまで行っても ダメかも」と
口をそろえて そう呟いていた・・・
何故なら 剛性の高いフロントフォークや、制動力の高いブレーキ、
ハイグリップタイヤと言った 17インチ車両に多く見られる仕様の
Zで ハードなライディングを繰り返すと、ステムベアリングの
容量が足らず、更にはフレーム側 レース圧入穴が 前後楕円に変形
してしまうダメージが現れる・・・
しかもそれは、フレームに補強を入れれば 尚更ベアリングだけに
応力が集中し ひどくなると言う、本末転倒なありさま・・・
それは筑波サーキット一周を 1分0秒・・・ いや 59秒台で
ラップするアベレージで Zが走った場合、まず確実に起こる事。
ZレーサーNew1号機は このZ系最大の泣き所を克服するべく
ステムベアリングレース部位周辺に 精密な補強を追加しているが
多少良くはなったものの、根本的解決には至らず。
どんなに頑強で 剛性の高いステムやフロントフォークを組んでも
それが逆に災いとなって しわ寄せ来るのが、Zのフレーム・・・
でも、元々の φ36の細いFフォークや 制動力の低いブレーキに
グリップ力の低いタイヤを使用していたノーマル車、あるいは
18インチホイールのシャシーであるならば、それらは特別問題
ない事でもあるのです。
つまりこれは、17インチホイールのZに 限った話・・・
見た目だけ追うなら 問題ないが、本気で走りを追求するなら
どうしても最後に、フレームと言う 残された決定的パーツを
交換する必要性が出てくる・・・
と、 ここまでは 軸剛性に絞った話で。
ステムとベアリングの部分だけで これだけの話が出来るのだから
この軸剛性の重要性たるや、何と奥の深い事か。
飛躍的に強度・剛性の上がった ステムシャフト軸剛性に見合う
ドウカティ製 ステムトップナットの採用・・・
ステアリングパーツの組み付け時に ねじれが起こらない構造で
A16は イチイチこういう所まで、完璧である。
まぁ そんな訳で! ここからはステム軸の話題から離れて
2台のA16を組み立てするプロセスに入りましょう!
組み立ては 仁科一人で担当してるのですが、002 & 003
2台完全同時進行な為、なにげに倍 きつい?・・・ (^^;)
もうさすがにこの後は 分解する事ないでしょうから、一つひとつ
丹念にパーツを組み込んで 立ち上がりました ♪
全く同じ A16と言うマシンでありながら、既に個性の違いを
色濃く感じさせられますね。
002のアルミタンクが フレームに載せられました・・・
いやぁ~ もう、 この時点でゾクゾク来てますっ! (>_<)
サイドカバーデザインを残した、003・・・
いやいや マジメにですね・・・
何とも言えないワクワクさが このマシンにはあるんですわ!
ジュラルミン総削り出しの フレームマウント式アッパーカウル
ステーも含めて、これでもかとばかりのワンオフパーツ群・・・
只でさえレアなマシンなのに、アップグレードも 一切妥協なし。
見て下さい、この側面トラス・・・
補強いらずの ツインスパースチールフレームを、見せたいと
まるでZレーサー2号機の如き、機能美。
フレームの美しさは あくまで機能の美しさ・・・ 機能美だけに
この画像を見て 思わず中村 「何て カッコいいんだ・・・」 と
完全に シビれました。
何か仁科も、大変ながら 楽しんでいる様に見えます・・・
まぁ 仕事を楽しく思えるのは、実は人生で最高の幸せでしょう。
魂となる、KZ1000の空冷4発エンジンが 搭載されました。
で、それはともかく・・・ どう思います、この画像!?
中村は一人でバカみたいに「カ、カッコよすぎる・・・」なんて
感動してたんです (;^_^A
フレームマウント式の 角ヘッドライト一灯仕様も、似合いそう!
実際 これを見て「う~~~ん・・・」 と 共感してくれる人達は
結構いると思うんですよね!!
ナイトロレーシング製 ウェルドクラフト3Dチタンマフラーは
そもそもオリジナルフレーム、Zレーサー2号機の製作の際に
生まれたマフラーだったって、ご存知でしたか。
コンパクトなフレームワークにより フロントのアクスル軸位置が
エンジン側に近いと、手曲げマフラーの様な前に張り出たEXと
フロントタイヤがフルボトム時 接触してしまう為、エンジン側に
寄ったレイアウトのウェルドマフラーが必要だったんです。
フューエルインジェクション スロットルボディも装備しました。
この Zエンジンのインジェクション化も、既に 001・004
007・009と、ここまで製作されたA16で 性能は実証済み。
現在製作が進む A16 Zレーサー3号機では、更に発展させた
斬新なインジェクション化にトライをしてますので、詳しくは
月刊カスタムピープル誌 【遥かなる頂きへの挑戦】 を、ぜひ!
見て頂ければと思います。
ちなみに今月の22日から24日まで ビッグサイトで開催される
東京モーターサイクルショーに、A16R-002は展示されます。
おなじみ(株)デイトナさんのブースにて 展示されるのですが
諸事情から一台だけで、残念ながら 003の方は展示されません。
今回は悔しいですが、いつの日か必ず・・・
モーターサイクルショーに A16をズラリ、並べて見せますよ!
本当にオーラを感じる特別なマシンですから、ご興味ある方は 是非
東京モーターサイクルショー (株)デイトナさんのブースへと
足をお運び頂ければと思います! (^^ゞ