この日、2本目の 練習走行に入る、上田と セカンドジェネレーションズの メンバー達・・
車体廻りの 基本的なセットが 不十分な為、練習の機会が 貴重な時間と なって来た・・
エンジンが、まだ これからと言う 瀬戸際にあって、シャシーのセットに 課題山積なのは
頭が痛い所だが、この 5年間余りもの レースブランクを、取り戻すのには 丁度良い・・
上田は、まるで 水を得た 魚の如く ライディングしているが、つい先日 完成したばかりの
空冷 Zレーサーが、それ程 たやすく ベストコンディションに なるとは、到底 思えない・・
彼ら セカンド世代達にとっても、この工程は、マシンを 熟成させつつ メカニックとしての
スキルを磨く、試練と言っても いい・・ もちろん・・ 苦しい時間を 過ごす事の方が 多く
時には、逃げ出したくなる事も あるはず・・ それでも今は この時・・ この一瞬を 全力で
駆け抜けて欲しい・・ 順位や結果に こだわらず、勝負に こだわれる メカを目指して・・
ファイナルの 変更で 進入時は 良くなったが、脱出速度に 犠牲が 出てしまった様だ・・
何度も ピットインを 繰り返す、上田・・ 上田も この NEW1号機に 駆ける想いは 強い・・
まだ 15分ほど、走行時間が 残っている・・ スピーディーな ピット作業が ともなえば
まだ わずかだが 走れるが 故、にわかに 慌しさが増した・・ この辺の ピットワークも
熟練チームであれば、当たり前の様に こなすのだろうが、彼ら セカンド世代にとっては
全てが緊張する 瞬間である・・ 何も 恥じる事はない・・ 一生懸命なら、それでいい・・
トライ&エラー・・ ドリブン・スプロケットを 変更し、立ち上がり重視に 変更する様だ・・
ふと 隣のピットを 見れば・・ 常勝 パワービルダーの 張替氏と ライダー 山根氏が・・
順調そうに 見える・・ これまで 欠かす事なく、レースに 臨んできた チームだけが
持つ事を 許されたオーラを、感じさせられた・・ 実力と貫禄が 同在しているのだろう・・
淡々と セットに打ち込む 上田とは対照的に、本店クルー達は 少しづつ 馴染み出す・・
ここに来て ようやく、本店レーシングも ( あぁ・・ サーキットに 還って来たんだな・・ )と
実感 し始めたのだ・・ かつては 馴染んでいた 場所でも、5年間もの ブランクは
想像以上に、時の流れを 生んでおり、ちょっとした 感覚のズレ・・ すれ違い感 と言った
ものを、否めなかったのである・・ 少しづつ リハビリを、進めて行くしか ないだろう・・
ラスト5分間の 攻め!・・ わずかだが・・ この日 一日の、仕上がりの瞬間である・・
最終コーナーの 脱出速度が、今までと 明らかに 違う!・・ この周回は 速いっ!・・
ツバサが 手元計測ではあるが・・ これまでとは 異なるタイムを、マークしていた・・
あくまで 新参者・・ 胸を 借りるつもりで 挑む サンクチュアリー 本店レーシング
優勝への 執着が、ないと言えば 嘘になる・・ だが 最も大切なのは、17インチ化した
空冷 Zが、どんな走りを 見せるか・・ そして、オリジナルフレームの 2号機レーサーで
5年前に 叩き出した、1分0秒126 と言う、自らのタイムに ノーマルフレームベースで
挑戦する事・・ 順位や結果では なく・・ 速さのみ 追い求めた、勝負への執着・・
そこに、ゼッケン “39” の 挑戦が 在ると・・ 感じるのです・・