晴天に恵まれた、早朝の筑波サーキット・・ 本日が、2回目の練習走行である・・
5月12日の 決勝まで、残すところ あと一月・・ だが、マシンは万全とは 言えない・・
この数日間・・ 3人とも連日 深夜まで、エンジンを組んでいた為、少々心配を していたが
今朝は いく分、すっきりした表情を 見せている・・ 体力もそうだが、精神的に 厳しくなると
早い段階から つぶれてしまうだけに、正直・・ 気が気ではない 心境だったのである・・。
何とか 組み上げ切った、練習用エンジンユニットを 搭載し コースイン・・ 早速 上田は
早い周回から、いいペースで 周っている・・ 老朽化 著しい エンジンなだけに、決っして
気持ち良い 光景ではない・・ 自信が持てる コンディション良い エンジンを、早く 上田に
託してやりたいと、痛感させられた・・ 中村だけでなく、皆そう 感じているはずだ・・
早めの ピットインで、状態をチェック・・ 今のところ 問題は ない様だ・・ 練習用ユニットは
もともと 高出力化を、追及した資質の ものではないが、その反面、扱い易さは ある様で
上田の評価は、まずまずであった・・ 確かに 乗り易さは、軽視できない 部分であるが・・
問答無用の パワーを 与えてやれないのは、メカニックの 立場からすると 複雑なのだ・・
NEW1号機 専用エンジンが 間に合ってない 今、出来るだけの事を やる!・・ そんな
気概が 湧き上って来る・・ ひとたび ピットに入れば、眠気も 吹き飛んでしまう 程にだ・・
上田が 狙うのは、マシンの トータルでの仕上がり・・ あくまで 空冷 Z・・ それも今回は
ノーマルフレームベース車 なのだから、エンジンだけに 頼っていては ダメと 考えている
様である・・ 確かに、モンスターEVO クラスには、近年 生産された BIGネイキッド車が
数多くいる・・ 特に XJR1300 などは、その基本設計の 優秀さにおいて、空冷 Zとは
比較に ならない程の 動性能を、発揮しているのだ・・ 直線での パワー合戦は もちろん
コーナーリング素性に おいても、40年以上も 開いた 技術進歩を、認めざるを得ない・・
空冷 Z 対 BIGネイキッド車・・ バイク漫画の 世界でなら、成り立つのかも 知れないが
これは現実の 競技なのだから、今から 冷や汗を かいていると言うのが、本音である・・
サンクチュアリー 本店レーシング は、いつだって 挑戦型のレースを して来たのだから
僻んでいても 何も 始まらないのだ・・ 我々が選んだのは、今から 40年以上も 大昔に
生産された、カワサキの 空冷 Z!・・ こいつを 昇華させて見せる!と、決めたのだ・・
一本目の 走行が終了・・ 上田のリクエストに 応えるべく、早速 作業に取り掛かる・・
無事に 一本目を終え、畔柳が 一番 ホッと している 様だが、練習用エンジンを 何とか
間に合わせられたものの、NEWエンジンの 事を考えると、気が 重くなるのであろう・・
新しい ピレリタイヤの直径が 大きく変わった為、やはり ファイナル変更を する事となる・・
ドリブンスプロケットを 1丁 アップするとの事・・ スイングアームの前側 補強部の加工を
施しておいて 正解・・ もしも 施されていなかったら、この選択は 出来なかっただろう・・
さて・・ 走行2本目・・ 細部はOK、出来る作業は 施した・・ 良い結果に 繋げたい・・
今日 このパドックの 中で、おそらく 彼ら3名が、最も若い年齢の メカニックであろう・・
海千山千の大人に 囲まれる中、ハイレベルな戦いに 挑む セカンドジェネレーションズ・・
廻りから いろいろ、言われている事は、彼ら自身も 知っている事・・ 罵声めいた 言葉が
気にならないと 言えば、嘘になる・・ そんな アウェーじみた 環境下でも、諦める事なく
果敢に 立ち向かって行く姿が 在る事を・・ 中村と 上田だけは よく 知っているのだ・・
辺りを 気にするなっ!・・ もっと走れっ! もっと進めっ!と・・ 声を荒げて 伝えたい・・
懸命な若者を 笑う者は、いないのだから・・