濃霧の筑波サーキット・・。 雨こそ 降ってはいないが、路面は完全に ウエットコンディション・・
新しいタイヤとのマッチングを 確認したかったが、残念ながら これでは難しいであろう・・。
それでも、久々に2号機を駆る 上田の気持ちは 熱い・・。 はやる気持ちを 抑えさせるべく
何度も ローペースを指示・・。 そもそも レインタイヤの使用が必要な コース状況下にあって
ドライタイヤの 相性を見る為の トラクションを掛ける事などは、到底 無理な話しであった・・。
今回、選択したタイヤは、メッツラーの レーステック・・。 あくまで あり得る と言う 前提の話で
あるが、実は走行前・・上田と中村の間で、今日 59秒台を マーク出来るだろう と言う会話も
出ていたのである・・。 一言で 59秒台と、簡単に言っている様に 思われてしまいそうだが
空冷 Zの チューニングマシンで それを成し得るのは、月並みな表現だが 容易ではない・・。
それでも上田からは、満更ではない感じを 受けていただけに、少し残念な気持ちでもある・・。
ピットインの度に 緊張感が走る・・ 畔柳やツバサにとっては、全日本の時とは また 違った
空気を 感じているのだろう・・。 こんなやり取りも 実に 4年ぶりに見る 光景である・・。
セットに 来た訳ではないし、何より 今日のコースコンディションでは、何かをやれる訳もなし・・
ただ・・ こうして反復して行く事の 一つ一つは、畔柳やツバサにとっては 大事なストローク・・
これから始まる 挑戦の為に、繰り返し 体で知って行く必要がある、大切な経験なのだから・・。
予定していた 走行時間が終了し、無事に上田が 戻って来た・・。 正直、フラストレーションが
溜まる 走りであった事は、見ている方も すぐに解かっただけに、心中察する 所である・・。
ともあれ、今日の走行は 無事終わった訳だし、まずは良し!と 捉えるべきなのであろう・・。
もっとも 良かった事もある・・。 開口一番 「軽く・・扱い易く・・ それでいて エンジンも速い!」と
上田は強く 語ってくれたのだ・・。 4年以上もの間、2号機に乗る事がなかったが、久しぶりに
走らせた 2号機に対し 「これぞ レーサー!」 とまで 評価してくれたのだから、メカニックとして
これ以上 うれしい事はない・・。 畔柳やツバサも、おそらく 同じ想いを 感じていたであろう・・。
レースから遠ざかって、早 4年・・ このブランクを 詰めるのは 簡単ではないなと 想う・・。
Z レーサー 2号機は 今日の走行を持って 今後、筑波の本コースを 走る事はありません・・。
レーシングマシンとして 競技の場に出る事はない・・ 真の引退を する事になったのです・・。
だがそれは、決して 後ろ向きな決定ではない・・。 むしろ、これから始まる
新たなる 限界への挑戦 続編への儀式・・ 全ての始まりへの 証であれ・・
”起” の年に・・ ” サンクチュアリー本店レーシング ” ここに 完全復活を宣言
あけて翌日・・ 工場の片隅で・・
To be continued