Zレーサー New1号機の 車体を 立ち上げる・・。 徐々に マシンのシルエットが 見えて来る
がゆえに、携わっていて 胸おどる段階だが、同時に 作業の性質も 複雑化 し始めて来る・・
しかも 中村以外の メカニック達が、より色濃く 参加し始める 段階でもある為、進行において
充分な注意が必要・・ ここから中村には、監督 権 選手 と言う 器用さが 求められて来る・・。
フロントフォークは、OHLINS製 正立 φ43 をチョイス・・ レングスは 800mm の シリーズで
まずはバネレート 0.95 N/mm からスタート・・。 もちろん、エクスモード・パッケージ!・・。
どうやら 大地&ツバサの モチベーションは 高く、安心させられる・・。 ミリ単位 グラム単位の
フィッティングには 大変な時間を 要する為、根負けを してしまった所で アウトなのだから・・。
自分が 担当を務める 通常の仕事も、おそらくは 差し迫って来ている事だろう・・ 心理状態は
かなり 良くないはず・・ 笹賀を初めとした ファースト世代達も、そこで葛藤を していたから・・
暫定だが、フロント周りが 決まってきた・・ ノーマルフレームベースの せいか、フロント周りが
遠くに離れた様に 錯覚してしまう・・ 逆に 言うならば それだけ1号機が、普段 携わっている
ストリート RCM 車輌達と 同じ ディメンション基軸で、構成されている 証明でもある訳だ・・。
こちらは バフ研磨 担当の菊地・・ 菊地もこの所、あちこちのバイク屋さんから 依頼されて来る
研磨の仕事に 追われている・・。 見ていていつも 思うのだが、この 研磨作業と 言うものは
非常にしんどい 労働だなと、感じさせられる・・。 菊地は 文句も言わず やってくれてるが・・。
今回は、アルマイト処理前下地 と言う事から、鏡面仕上げの ちょっと手前位の 表面処理で
仕上がっている・・。 基本的に金属は、表面を 磨き上げる事で、わずかだが 強度が上がる。
更に アルマイト処理ならば、塗装と違って 重量増加が ない分、理想的に仕上がるはず・・。
グラム単位の 追求から 得られる恩恵は 少ないかも知れないが、姿勢を変える気はない・・。
おもむろに 畔柳が、加工場で 今回使う 1号機のクランクシャフトの、チェックを 行っていた・・
マグネットローターが 圧入される部位を 切断する・・ もったいない!と、思われるであろうが
不必要部位な だけに、ためらいも無く 切断をする・・ かなりの軽量化に なる事 間違いなし・・
切断した側には、単品製作した アルミの専用キャップが 被される・・ 軽くなるのは もちろん、
エンジン幅も コンパクト化 出来る為、この辺りの 選択は、至極当然と 認識をしているのだ・・
畔柳翔一は、地元 東京都出身・・ 既に ご存知な方も 多いだろうが、黒柳は 2008年春から
本店での勤務を 始めている・・ 大地やツバサと同様、整備学校を 卒業と同時に、正規の
社員となったのだが、学校在籍中も 週1回のアルバイトで 通って来ていた 経歴があった・・
アルバイト期間も含めて、延べ 5年目に 入るのだから、もう立派に 中堅メカニックである・・。
開発担当、高橋アキラも 参加・・ アキラは 2号機を はじめ、中村の愛機 RCM-001も
含めて、本店では ”縁の下の 力持ち的” な存在・・ かつては、F‐1マシンの 特殊な部品を
開発したり、様々な 製造関係の会社に 特殊工具を 提供して来るなど、極めてスペシャルな
経歴の持ち主・・。 人は見かけに 寄らないと言うが、改めてアキラには そう感じさせられる・・
キャド操作も 含めて、PCにも 強い・・。 New1号機の 製作に 積極的な参加をしている・・。
かつての1号機を 踏襲しつつも、あの時代の マシンを 超えたポテンシャルを!・・ そんな
気概が あるのかも知れない・・。 セクションは 違えど、皆 志は 同じなのだろうと 想った・・。
スロットルは 普段の RCM 製作時では、ルックスの良い ヤマハ純正部品を 流用するのだが
今回は ライダー上田の リクエストを優先し、久々に 大径プーリー式の ものを採用した・・。
削り出しのボディは 切断・肉抜きを 施し、軽量化・・ ワイヤーコンディションも 視認 し易い・・。
大地は、アッパーカウル・ブラケットの 製作を開始・・ この手の 造り物には、高いセンスが
問われる故に、中村も 口を出す!・・ かわりに作業は 大地に託す!・・ と 言った具合だ・・。
そんな折・・ 店長星の元に 部品が届いた・・ ブレンボの ブレーキ部品なのは 見て解かる・・
神奈川県 横浜市に在る ラフ&ロード さんから、New1号機用に、左右の ブレンボ ラジアル
マスターシリンダーが 納品されたのだ・・。 ラフ&ロ-ドさんは、早くから世に ブレンボ製品を
いち早く 紹介してくれていた・・ それも 多くの人達が 買い易い様にと、リーズナブルな価格で
提供を し続けてくれている 大変 ありがたい存在である・・。 今回も 星が New1号機 用にと
話したところ、快く送ってくれた 逸品・・ 戦績で 期待に応えたいと、強く想う 次第である・・。
いよいよ 総力戦の様相を 呈し始めたか・・ 工場の空気が いつもと違い、張り詰めた感覚が
はっきりと 在る・・。 セカンド世代の 目にも New1号機の姿が、見え初めて来たのだろう・・
毎日忙しい 仕事の中で、レーサーに 従事し続ける事は、非常に 難しい事であると言える・・。
心が疲れ 折れそうになる日も、あるからだ・・。 それでも 誰しもが、一度位は 高いハードルに
挑んだ事は あるだろうし、そして、そこから得られる 達成感や喜びは、何ものにも 変えがたい
充実感が あるのだろうから、やはり ここから後には 引かせやしないぞ!と・・ 強く想う・・。
近く、よみがえった1号機の 姿に、出会えるはず・・ そこまでは 全力 あるのみ!・・
その16に 続く・・