少し前の事・・ RCM-240 Zレーサー New1号機 のフレームが、塗装され 帰って来る・・
ここまで、中村一人で フレームに 向かい合い、格闘して来たのだが、ここからは いよいよ
車体を 組み上げて行く 工程なだけに、チームクルー 全員での 集中作業となる訳である・・。
RCM として 製作されるが 故に、塗装も ダイヤモンドコーティングを 選択・・。 重量の増加を
少しでも 抑えると言う 観点から、今回は特別に、塗装皮膜を 薄く 仕上げてもらっていた・・。
そんな塗装まで・・と 呆れるかも 知れないが、グラム単位の 軽量化とは こう言う事だと 思う。
この時点で、まず最初に やろうと思っていた 試みがある・・。 その為に、ベアリングレースを
上下共に打ち込む事に・・ 要するに、旧1号機 フレームとの 重量を比較を したいのだ・・。
こちらが 旧1号機のフレーム・・ ベアリングレースが 圧入され、当然 塗装された 状態であり
その重量は、17.060 kg であった・・。 生粋の レーサーとして 余分な部位を 全て切り取り
その分、軽くはなって いるものの、過剰な補強による 重量増加も 相当な割合である様だ・・。
では、New1号機フレームを 計ってみよう・・。 先程の 旧1号機フレーム 同様、塗装済みで
ベアリングレースも 打ち込み済み・・ 全く 同じ条件な為、キッチリとした 比較が出来る・・。
14.350 kg ・・。 その差 2・71 kg 軽くなっている!・・。 たかだか 2.71 kg と 思われる
かもしれないが、徹底した 軽量化追求の中での 2.71 kg は、軽視できない 数値である・・。
仮に、エンジンパワーでの 加速競争に なった場合・・ 同じ車重の マシン同士で あったなら
より 軽量なマシンに 軍配が上がる・・。 それが拮抗した パワー合戦ならば、尚更だろう・・
あらゆる点で アドバンテージを 取る・・ ライダー上田の 負担を、少しでも 軽減する為だ・・。
ステムシャフトも特注品・・ ジュラルミン A7075材から、NC旋盤で 削り出した物を 用意・・
ここでも 軽量化への 拘り・・ ステムシャフトを ロングドリルで、中空化加工を 施した・・。
より 強靭なシャフトに するべく、この後 ハードアルマイト処理を 施してやるのだが、その前に
もう一度 ネジ山を 切り直しておく・・。 ハードアルマイトは 本当に硬質な 表面皮膜になる為
処理後に ちょっとした加工を 施そうとしても、全く 歯が立たなく なってしまうからである・・。
一方 こちらでは、以前オーダーしていた リアキャリパーブラケットが 出来上がった様である・・
製作を 担当してくれたのは、先に ご紹介した 西多摩郡の製作会社 アルカディアである・・
ステム同様に、これも大変 素晴らしい 仕上がり具合で、見ているだけでも 気持ちがいい・・。
採寸し 図面化したのは、両角ツバサ・・ 2次元から3次元となり、具体化した 自分の作品に
満足している様である・・。 この両角(通称ツバサ)は 長野県の出身・・ 地元を離れ 関西の
整備学校に 入って学び、卒業と同時に 本店の門を 叩いて入門・・。 大地とは 同期であり
そのせいか 多くの人達が 「ツバサと大地は いい ライバルだ!・・」 と、認識されている・・。
実際も そうである・・。 大地が”メカ好き・メカキチ” 系 なのに対し、ツバサは”努力と 志” で
前に進むタイプ・・。 だからツバサは、いつも ひた向きだし 謙虚・・ ゆえに 吸収も 早い・・。
少しばかり 照れ屋な為 人見知りを する所なんかは、ご愛嬌と 捉えて頂きたい所である・・
二人とも 入門して まだ2年・・ 今日まで 「これでもかっ!・・」 と ばかりに、鍛えられてきた・・
実際、とても2年生とは 思えない程、実力は ついて来ている・・ 成長著しい 若い二人だ・・。
ツバサが 担当しているのは、主に 足回りが中心・・ New1号機 専用に 軽量加工された
スイングアームを フイッティングさせている・・。 出来るだけ フレーム側、ピボット 内寸法と
差異のない数値に、ピボットスリーブを 仕上げる為で、実は この擦り合わせ工程に よって
フレームの補強効果が、得られるからだ・・。 細かく・・かつ 丹念な 作業が、施されて行く・・。
スイングアームの フイッティングパーツが 出来上がり、本体は 表面処理工程へと 移る・・。
バフ鏡面研磨 担当 菊地の出番である・・。 依頼内容は、”アルマイト処理前 下地研磨”・・
様々な作業を 得意としている者が 引き継ぐ・・ 真剣に 物造りに取り組んでいる 現場での
よくある ワンシーン なのかも知れない・・。
さぁ・・ 時間も押してきた事だし・・ みんなっ 速度を上げようぜ!・・
その15に 続く・・