旧1号機レーサーを 蘇らせるべく、奮闘を続ける日々が 始まった・・。 新たな体制として
ファースト世代から セカンド世代へと 襷は 渡されたが、全てが未知・・ 未経験な世界・・。
そして、通常業務も 疎かには出来ない・・ 今 こうしている間も、お客さん達は 待っている・・
とは言え、文武両道を こなせる術もなし・・ ひたすら 前に進むだけ!と、言った所である・・。
決勝用エンジンを 分解し 細かな分析をする 畔柳だが、普段 中々 お目に掛かる事のない
その、ハードなチューニングを 目の当たりにして、少々 腰が引けている様にも 見えた・・。
いつも 組んでいる、ストリートメニューとは 段違いの仕様・・ 面 食らうのも 無理はない・・。
耐久性や 使いかってを重視した ライフ・パッケージは もちろん 、更にその上・・ 上級仕様の
パワー・パッケージですら、かすむ程の 手の入り方なのだから、驚くのは 当然であろう・・。
中村も 出来るだけの アドバイスをする・・ これまで何度も、エンジンブローを 見ては来たが
あれは本当に 気持ちに良くない・・ かつての2号機などは 予選でブローし、持って来ていた
トレーニング用エンジンに 載せ換え、決勝を走ったほどだ・・。 もっとも そう言った状況下で
ありながらも、その日の レースは 勝ったのだから、それはそれで 大したモンだと 思うが
シンドかった事には 違いない・・ 当たり前だが、ブローせずに 走り切りたいと 常に願う・・。
フレームも、補強の工程は 全て終了・・。 2~3箇所 足したいかな・・ と、思う部分も あるが
これ以上、重量増になるのは 避けたい・・ ここまで 追加した補強は、まず、はずせない!と
思える部位ばかりで、ここから先は、重量増と言う名の デメリットと 計りに掛けての 判断だ・・
補強は終了したが まだまだ作業は 残っていた・・。 まずは、ベアリングレースを 叩き抜く為の
溝を、延べ3箇所 削ってやる・・ こうする事で、レースを容易に 交換し易くなるからだ・・。
上下の ベアリングレースを 圧入した後、先日 出来上がったばかりの、SCULPTURE 製
ステム KITを 取り付けてみる・・ このステムは、レース専用に 開発されたもので、STDな
SCULPTURE 製品とは 全く異なった、一線を画したものだ・・。 製作を 行ってくれたのは
東京都・西多摩郡に 在る、製作会社 ”アルカディア” で 、その仕上がりは 非常に良い・・。
アルカディアは これまでも、ワークス系 チームの スペシャルパーツを、数多く 手掛けて来た
実績を持つ・・ それは、競技用オートバイ部品を造る上での、意外な優位性にも 繋がる・・。
最高峰の レーシングマシン・パーツ開発に 携われると言う事は、ある意味、貴重な経験と
言えるだろう・・ アルカディアには、そんなノウハウを 感じさせる 何かがある様に思う・・。
アルカディア代表の T氏も 今回、New1号機 復活に 積極的な 協力をしてくれており、正直
ありがたいと、感じずにはいられない・・ 違う畑の立場ではあるが、より速く、より強いマシンを
生み出す為の 最終目的は 同じであり、おそらく それらは、共有出来る 夢なのだと感じた・・。
出来上がったばかりの ステムを 組み込み、ステアリング・ストッパーの 加工処理を 施す・・。
ストッパー形状も、丸カラー型ではない 扇型を採用・・ 点接触ではなく 線接触で しっかりと
掛かる構造をとった・・。 この辺は レーサー故ではなく、ストリート車でも 貫きたい所だ・・。
続いては、オイルクーラーの 取り付け部を 造る為の 冶具を、アルミ板から 切り出す・・。
基本、ラバーマウントは 当然として、更に 安全性を考慮して 上下 4点固定と したいのだ・・
この4箇所 取り付け面精度が悪いと、取り付け後、ブラケットに ストレスが掛かり、クラックが
入り易くなる・・ きちんと精度を出して 始めて機能するのだから、決して 手は抜かない・・。
冶具を造るのは 手間が掛かる事だが、溶接する段階では 只 ありがたいアイテムと 化す・・。
近づく フレーム完成を 横目に、大地とツバサも 動き始めた様だ・・ それぞれが 受け持つ
セクションで、この段階から 手を付け始めなくてはならない 作業がある・・ 普段の仕事に
追われて、ここまで 積極参加 していなかったが、ようやく 焦りを 感じ出したのであろう・・。
ここまで少なくとも、中村 一人で 殆どをこなして来たが、ここから先は セカンド世代達にも
やってもらわなければ 困ると言うもの・・ もちろん、通常業務を 犠牲にせず!である・・。
ファースト世代達にも 同じ事を 言い続けて来た・・ そして 結果を、出し続けて来たのだから
畔柳 ツバサ 大地にも、出来るはず・・ ここから、あまえは 許さない・・
その13に 続く・・