前回よりの 続き・・ Z レーサー New 1号機 ・RCM-240 の フレームに、付きっきりと
なって作業中・・。 リアセクションが 出来上がった所で、お次は いよいよ インライン処理・・。
リアタイヤに 180サイズの銘柄を 履くにあたって、ドライブチェーンのラインは 最低でも
17mm以上のオフセットが 必要になって来る・・。 Zは 基本的な骨格設計で、リアタイヤを
120~130 あたりの寸法に 設定している為、17mmもの チェーンライン 大 オフセットを
かければ 当然、チェーンが フレームの左内側と 干渉を起こしてしまう・・。 それが もう既に
わかっている事なのだから 干渉を防ぐべく、予め インライン処理を 施しておくのである・・。
この様に 内側を切り取り、曲げ込んだ アングル材を製作して 溶接して行くと言う 工程・・。
発想自体は 特に 難しい事ではない・・ それよりも作業自体が 非常に面倒で、しかも精度を
追求するのに、熟練性・・ ある程度の経験値が 必要とされる・・。 ときどき お客さん達から
「この作業に対し、何か 批判的な事を書いてる人、いないですか?」と 言われる事があるが
特に気には していない・・。 むしろ お客さん達の方が その 批判者に対して、怒り出したり
する始末で 困るほどだ・・。 それでも、一抹の不安を ユーザーが 抱いているのであれば
証明をして 見せよう・・。 ハイスピード アベレージの中、高負荷が 掛かり続ける 状況下にて
いかに、強度に 優れているか と 言う点を・・ 第三者批判 などではなく、実行で見せる!・・
RCM のフレーム加工が、真に抜粋された 技術であると・・ 旧1号機が そうであった様に・・
ドライブチェーンの スライダー機能も 追加・・ スクリューで 脱・着できる 構造とした・・。
STKM13C パイプを ベンダーで 曲げ込んだもの・・ これを半分に切断し 補強材とする・・。
微妙な Rの違いを 合わせる為、当て込んだ所に アセチレンバーナーを用いて 加熱処理・・。
少しずつ・・ ゆっくりと 馴染ませる・・ 補強後に、無理な力が 掛からない様にするのが 狙い・・
きれいに 沿わせた Rが合えば、後は溶接して行くだけ・・ この部位の 補強は、絶対的な
効果が 見込める分、エンジンバイブレーションも 伝達され易い・・ 過剰な フレーム補強は
振動に 悩まされると言う デメリットもあるが故、一長一短・・ 迷う部分だ・・。 今回 基本的な
考え方としては、フレームには必要な補強を 効率的に加えたい・・ そこをあまりにも 犠牲に
したくはないのだ・・。 結果、増幅して伝わる 振動対策には、エンジン側にて 軽減させる・・
クランク・コンディションを UPさせ、インライン4 レイアウトの 燃焼も、バランスさせて行く・・
消耗サイクルは 若干 早まるが、この選択が本来 正統派と呼べる 手法ではないだろうか・・。
もう一つの 出力UP・・ 軽量化も 同時進行だ・・。 ツインプラグ式の イグニッションコイルが
シート下に 置かれる予定なので、従来のコイルブラケットは 切断して 取ってしまう事に・・。
こんな加工でも、気持ちを込めて 作業を進める・・。 フレームは、同じメニューを 施すにしても
誰がやったのか と言うのが、意外に わかってしまうもの・・ だから この RCM-240 だけは
若手達には 申し訳ないが 誰が何と言おうと、中村 自ら 手掛ける!・・ と 決めていました・・
必ず 強い・・ いやっ・・勝てるフレームに 仕上げて見せる!・・ と言う 強い気概に、気持ちが
高揚する・・。 久しぶりに モチベーション UP した 自分に、不思議さすら 感じてました・・。
SS400の 丸棒材から、左右 ワンピース状の タンクマウントピンを、削り出して行きます・・。
溶接後、左右を切り離した マウントピン・・ ノーマルに比べ 短く、コンパクトで軽量・・ さらに
ダンパーが 掛かる部位には アルミ材を採用・・ サイドクリアランスも 調整が可能である・・。
ライダー上田の 走行負担を、少しでも・・ ほんの 少しでもいいから 低減させてやりたい・・
そして、最強17インチ・・ ノーマルフレームベース 空冷最速クラス ”モンスター EVO” で
かつて、自らのチームが 叩き出した ラップタイムを 超えたいと言う 想い・・ おそらくは
これが この・・ 強いモチベーションの 原動力なんだろうな と、感じます・・。
” メカニック冥利に つきる・・”
畔柳 ツバサ 大地・・ 近く あいつらも・・ こんな気持ちを 抱く事でしょうね・・。
その11に 続く・・