ゼッケン39の 挑戦、 最終回 ( 最後に動画 音声付き あり )
あれから 1週間・・
いつもの 日常・・ メカニックとして 各々、車輌に 取り組む日々が 戻った・・
ショールームに、何事も なかった様に たたずむ、 Zレーサー NEW1号機・・
頭を冷やして 想い返せば・・ この12年間は 一体、何だったのか・・
自分でも よく わからず、 自問自答する 事がある・・
想い返せば・・ そう、12年前・・
何もかもが、あの日から・・ 忘れる事の 出来ない・・
あの日からの 挑戦が・・ ただ 続いていただけ なのかもしれない・・
上田は、Zレーサー 旧1号機で、旋風を 巻き起こした・・
このまま行けば、ラップタイム 1分を 切るかもしれない・・ そう 想った・・
あの日の・・ あの 大転倒の日までは・・
時代は オリジナルフレームを 求め、 Zレーサー 2号機が 誕生
ここでも上田は、伝説を残す・・ 神がかり・・ 誰もが そう 感じただろう・・
だが、 この 2号機を 持ってしても、 59秒台ラップには 届かず・・
そして・・ サンクチュアリー本店 レーシングは、 サーキットを 去る
完全なる レース活動からの 撤退・・ それが、現場からの 肉声・・
何かが・・ やり残した 何かが、あった・・
やがて、時は 流れ・・
まだ、 あどけなさすら 残る、2世代目・・ メカニックの 卵・・
これまで どんな事が あったのか・・ 何も 聞かされていない 子供達・・
平成生まれの 若者達に、 ある日突然・・ 白羽の矢が 立った・・
右も左も わからないまま、 悪天候の 筑波サーキットに 連れて行かれる・・
ピットで 数年ぶりに 再会した、乗り手と マシン・・
男は ふたたび・・ ゼッケン39を 身に纏った・・
言われるが まま、なすがままに・・ 懸命に やるしか、なかっただろう・・
その後も、沢山の恥を かく・・ 見ている方が、思わず赤面 するほどに・・
笑われても 傷ついても・・ それでも 彼らは、逃げる事だけは しなかった・・
だから、必死に 勉強した・・ 真剣に 話し合いも した・・
やれる・・ 崩壊した 本店レーシングが、復活出来るかも 知れない・・
ならば・・ Zレーサー 1号機の 志も、復活させよう・・ いま一度・・
ノーマルフレームである事・・ すなわち、Zレーサー 1号機・・
願わくば・・ 届かなかった あの日の 夢を、 もう一度・・
確かに これは、1号機だね・・ 男は そう つぶやいた・・
勝利を 目指し・・ あの日 交わした約束・・ 59秒台に向かって、走る・・
痛恨の ピストンブロー・・
決勝まで 時間が ないと言うのに、 壊してしまった 渾身のエンジン・・
それでも、あきらめる事を 知らない 魂を、 見た・・
あきらめやしない 若者を、 知った・・
舞い上がる 情熱は・・ 強いものへと 立ち向かう・・
勝ち得た、勝利・・ そして ついに・・
ノーマルフレームベースの Z‐1が、筑波サーキットを 1周 59秒台で 走り切った
レースは 終わり・・
Zレーサー 1号機の 物語が・・ ようやく 終わろうとしている・・
平凡な日常・・ 別段 不満が、ある訳ではない・・
最近になって、 あのレースは 一体 何だったのかと・・ 思う事も ある・・
だが、ふと 目を閉じれば・・ あの サーキットの まぶしさが、 脳裏を過り・・
空冷4発の エキゾースト音、 残響が・・ 胸を打つ・・
59秒台 到達を目指した・・
ひたむきな 若者の姿と、 身命掛けて 走った ライダーの 物語が、今もなお・・
色あせる事 なく 続いている・・
( 音声付き 動画 )
ゼッケン39の 挑戦 (完)