練習走行を 目前に、真っ二つに 破断した、クランクシャフト・・
調べて 前例が在る事とは 言え、当事者として 経験するのは、始めてである
いずれにせよ、走行に 間に合わせるべく、対処しなければ ならない・・
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厳しい時間との 競り合いの中に ある時ほど、しばしば 助けられる事は 多い
淡路の J&J 上原社長より、急遽 リビルドクランクシャフトを 供給頂いた・・
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毎回 感じさせられる事だが、レースは 一人で 成り立っているものでは ないと
痛感させられる・・ 様々な立ち位置の人に 支えられ、成し得ているのだと・・
奢るまい・・ 自らが 沢山の人達に 助けられて、 挑めるのだから・・
レースに 出れる事の喜び・・ 謙虚であるなら、道は 跡切れはしまい・・
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クランクの破損により、当然の如く バルブとピストンが ヒット・・
ステムが 曲がり込んで ロック・・ バルブガイドにも ダメージが見られる
数日前に 交換したばかりの シリンダーヘッドは、 かろうじて 生きていた・・
少し前の事・・
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実は 以前 使用していた シリンダーヘッドに 問題が発生し、使用不能になり
急遽、月刊ロードライダー誌で、製作連載中の、中村自身の愛機、 Z1‐R
RCM-001の シリンダーヘッドを、やむなく NEW1号機に 供給していた
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過密な時間の、合間をぬって 加工した シリンダーヘッド・・
インテーク φ37 エキゾースト φ33の バルブフェイスに 併せて、ポート径を
拡大加工・・ まだ 粗削りの段階だが、この後 仕上げ工程へと 移行・・
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研磨部門 菊地に 仕上げを託すべく、 畔柳も 綿密な説明をしていた・・
何と言っても 時間がない・・ 限られた 時間の中で、仕上げて貰うしかない
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期待に 応えようと、菊地も 懸命に 向き合っていた・・
磨き上げの 遅れが、その分 組み付け時間を 喰う事に、繋がっているから・・
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完成度 90%ではあるが、ひとまずは 良しと 思える段階まで、仕上がった
シリンダーヘッド・・ この後も また、ダイヤンモンドエンジニアリング へと
手渡され、内燃機加工を 施される・・ 各分野での 職人技術が 積み重なり
確実に 一歩一歩・・ 幾つかの想いが リレーの様に 連なり、進む・・
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バルブは 特注寸法品なだけに、新品交換は 容易ではない・・
だが、インテークのみ 4本、データー計測用の φ38.5フェイス 新品が あり
エキゾーストも、RCMー001用の φ33が 4本 あった為、何とか対処できた・・
最も インテーク側は、ステム長が 1.5mmも 短い仕様だった為、シートリングを
1mm程 追い込み、0.5 前後の 差異は シム厚で調整すると 言う、やや即席な
展開を、余儀なくされる事となる・・ 更なる 圧縮低下は、避けられなかった・・
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それでも こうして、破損部品は 全て揃い、組み付けの為の 準備は出来た・・
明日の朝までに エンジンを完成させれば、何とか走らせる事が 出来るのだ
フラフラに なりながらも、エンジンを復活させ、コースに臨む・・
そして・・
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眠気と 気怠さが 抜けないまま・・ 早朝のパドックに 入っていた・・
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息を吹き返した、Zレーサー NEW1号機・・ まずは 一本・・
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39の挑戦・・ そのライディングが、今ようやく スタートを切る・・