ゼッケン 39の挑戦・・ 第3Round が 始まった・・
大会 1か月前・・ 早朝の 筑波サーキット
穏やかな陽気に 恵まれ、幸先良い スタート日和だな と、感じる・・
もちろん、そんな簡単で 無い事は、充分 承知を しているが、柔らかい季節に
出迎えられた だけでも、少しは 安堵 出来るものだ・・
昨晩、遅くまでマシンと 向き合っていたせいか、どうやら 起きれない様子・・
レースメカニックとして、約1年・・ 沢山の経験を 積んで来た、畔柳・・
ストリート中心で やっていた頃は、さぞかし 楽ちんであったろう・・
それほどに この 1年余りは 過酷であり、そして同時に 意外性に 満ちていた
39番を背負う ライダー、上田も 到着・・
大会まで あと 一月しかない この時期に、ようやく最初の ライディングだ・・
この 直前になるまで 練習走行 出来なかったのには、もちろん 理由がある
それは、サンクチュアリー本店の 通常業務が、過密である事にも 関係するが
何よりも、畔柳を 始めとする セカンド世代達の、メンタル面も 大きい・・
日々、ストリートの業務を こなしながらも、レーサーにも 携わる・・
かつて、ファースト世代 リーダーの 笹賀ですら・・ 苦悩した 現実だ・・
少しだけ 時間を、さかのぼろう・・
2014年 2月下旬・・
新しい世代の マシンとして 復活を果たした、Zレーサー NEW1号機・・
登録可能なフレームを ベースに 製作された事から、このマシンだけの
シリアルナンバー、RCM-240 を 称号されている・・
ストリートでは それこそ、10年も 走らない限り、出くわさない様な 故障・・
他にも、沢山のトラブルを たっぷり経験した、1年間だった・・
アルカディア 高野氏の手で 造られた、オフセット量の 異なるステム・・
少しでも オリジナルフレームの コンパクトな操作性が 欲しくて、変更を試みた・・
空冷Z 特有の、上に前にと 遠く離れた ステアリングヘッドパイプ位置を
何とか 少しでも、リカバーしたいと 言う 想い・・
ここに、もの造りに 賭ける 男の・・ 情熱と夢が 込められている・・
そう感じる事が 出来た・・
そして・・
畔栁は、パワーユニットに 対峙・・
レース活動を 重要視して来た、サンクチュアリー レッドイーグル・・ 吉田裕也が
プロジェクトJAMとの コラボで 取り扱う、ヴォスナーピストンを 採用していた・・
今回のピストンは、オーダーメイドで 製作を 依頼したものなのだが
圧縮比の設定を あまく 指定してしまい、NEWエンジン 組み付け スタート時から
試行錯誤を 繰り返すと言う、予定外の失態に 見舞われてしまった・・
トップボリュームの 不足から来る 低圧縮化は、否めない仕様に なっている・・
今から 新しいピストンを オーダーして 手に入れるには、時間がなさすぎた・・
吸排気弁系で 充慎効率を向上し、少しでも 載せるしかない・・
前回 造り上げた 137馬力エンジンが、高圧縮型の 性質で あったのに対し
今回は その真逆・・ よりテクニカルな 仕様に、挑まざるを 得ない状況・・
やり切れていない 苛立ちを 抑えたまま、とにかくも エンジンを搭載する・・
新しいパワーユニットに、火が入った・・
迷走 解き放たれない 工程であったが、それでも こいつは咆哮を 上げる・・
低圧縮が故の 傾向なのか・・ スロットルの動きに、滑らかな反応が あった・・
諸々の事情から、稼動されて 久しい シャシーダイナモ室・・
測定は 出来ないまでも、エンジンの 簡単な慣らしと、フィーリングを 見るべく
およそ7年ぶりに、サンクチュアリー本店の ダイナモは 回っていた・・
音を聞く・・ 振動はどうか・・ レスポンスは・・
至って複雑な 心境の中・・ ただ ひたすら、期待するしかなかった・・
このエンジンが・・ 少しでも ライダー上田を、前に 押し出してくれる 様にと・・
仕上がった 1号機を 積み込む・・ ここからは、きちんとセットを 併せなければ・・
テイスト オブ ツクバに エントリーしている 有力チームの マシン達が
早くも テスト走行 開始していると・・ 沢山の噂が 入って来ていた・・
焦燥感は 隠せない・・
憤りと共に、不愉快な動悸が・・ 胸の中に あった・・