10月も 終わりに近づいた、ある日・ 果敢に セットを試みる、ゼッケン39番・・
上田隆仁と セカンドジェネレーションズ、 サンクチュアリー 本店レーシング・・
その 第2ラウンド活動が、繰り返し 行われていた・・
“ひょっ子” 呼ばわり されていた、平成生まれの 若手メカニック達・・
レース 1年生として デビュー戦を果たした 彼らも、一枚皮が 剥けた様に想う・・
一人前とは 言えないまでも・・ それなりに、様になりつつは あるなと・・
中村自身は、そう 感じていた・・
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前回、126馬力と言う 非力なパワーで、Sモンスター EVO クラスを 走らせ
結果・・ 大変な苦戦を 強いられた 事は、反省点であり 課題ともなった・・
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そして・・ 新たに 仕様変更を受けた、モディファイド 決勝用エンジン・・
後軸出力 136馬力 最大トルク 11.7キロ と言う 所までは、来た!
圧倒的な 数値ではないが、戦えるパワーの 範囲には、入ったと 思える・・
故に、これまでとは 明らかに違う タイムが・・ 変化が 現れ始めたのだ・・
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一周、0秒台の 中盤タイムを、連発!・・
1秒台前半で 止まり、そこから 伸び悩んでいた事が まるで 嘘の様である・・
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少しづつ、タイムが 上がって行く・・ この日のベストは、0秒 325・・
ノーマルフレームベースでの タイムで、ここまで 来れたのも、嬉しい事だ・・
何と言っても 旧1号機ですら、ベストタイムは・・ 1秒台 だったのだから・・
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皆 表情に、笑顔が戻って来た・・ これなら、更なる上のタイムも 狙える・・
今回も グリッド数の都合上、水冷最速 ハーキュリーズクラスと、混走になったが
0秒台前半で 周れれば、例え 空冷車輛でも、まずまずの走りが 見せられる・・
カワサキ 空冷Zが 今一度・・ 主役に 返り咲けるのかも 知れない・・ と、
そんな 切望とも言える 想いが・・ 皆の胸に 込み上げて来ていた・・
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2回目の 走行終了後に、シリンダー廻りから オイル漏れを 確認・・
ここまで 良い状態を キープして来ただけに、 ここは手堅く 行こう・・
意気揚々とした 気分のまま、 一路 本店へと戻った 矢先・・
それは 発覚した・・
オイル漏れが 進行すれば、出走中止も 有り得るだけに、早々に 直してしまおうと
早速作業に 取り掛かった・・
と・・ その時である・・
正直・・ 予想していなかった 事態が・・
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ピストンが・・ 欠損 していたのだ・・
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全員・・ 言葉が出てこない・・
起こっている事を すぐに・・ 受け入れられないで いたのである・・
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(くそっ!・・ やってしまった・・ デトネーションだっ!・・)
何故?・・ そこまで 高圧縮化、してない ハズっ!・・ 一体 何が!?・・
点火時期?・・ 燃調?・・ それとも?・・・
どうする!?・・ このピストンは もう、すぐには 入手出来ないぞっ!・・
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考えていても・・ 起こってしまった事は 戻せやしないが、好調な状態を
継続していただけに、悔しさが ジワッ・・ と、浮き上がって来る・・
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ピストンだけでなく シリンダーヘッド側にも、ダメージは 現れていた・・
誰かがつぶやく・・ 練習用の ユニットか・・ と・・
大会まで、 あと 1週間たらずと 言う時に 起こった、今回のトラブル・・
セカンド世代 3名に とっても、初めて経験する 山場と なってしまった・・
ゼッケン39の 挑戦・・ 波乱の 展開の中で、どう 戦う・・