走る事、約 6時間・・ 岐阜県 美濃加茂を目指し、中央高速を 西へ移動・・
新しい仕様の エンジンが 出来て 間もなく・・ シェイクダウンの、1週間前・・
直前になって、遥々 遠征するのには、もちろん・・ それなりの 訳があった・・
初めてのレース・・ まだ 経験した事のない、本格的な チューニング・・
重要なのは、先輩達に 追い付く事 では なかった・・ と、身を持って 知る
畔栁自身・・ 勘違いを 認めた・・ 大切なのは、今の水準で 戦える事・・
6年前とは 全く 違う・・ 今のレベルで やれる事が、目標だったのである・・
最後の走行後・・ シリンダーヘッド 燃焼室と ピストンヘッドに、発生した
デトネーションの 原因・・ 時には本気で、言い合いに なる 場面も・・
「それでも、高圧縮化 じゃあねぇの・・ その路線は、変えねぇよっ!・・」
馬力を 生み出す事に 対し、ようやく執着心が 芽生えて来た 様だった・・
新しい仕様は、油圧管理が ナーバスな エンジン・・
プレッシャーゲージ 片手に、何度も確認・・ 論争は、しょっちゅう である・・
そして・・・
こうして ここまで 紆余曲折 ありながら、 岐阜に到着・・
スピードショップイトウを、訪問・・
代表の 伊藤晶雄・・ 快く 出迎えてくれる、本当に 気持ちの良い 男・・
中村自身 今、最も 信頼できる男の 一人でもある・・
時間は少ない・・ 別段、ここまで観光に 来た訳じゃあ ないのだ・・
すぐさま シャシーダイナモ上に、NEW1号機を セットし、準備はOK・・
アキオも、レースから 数多く学んだ 人間・・ そして 現役のメカニックである・・
「中村さん・・ シャシーダイナモは 嘘をつかないよ・・ 決っしてね・・」 と、
アキオは言う・・ その眼には、経験から 打ち出される 自信が、満ちていた・・
お構いなし!・・ ガンガンっ!回して、次々と データーを 収集・・
畔栁も、2回目となると 手慣れたのか?・・ 臆する事 無く 要領よく 見える・・
燃調と 点火タイミングを、数回変更・・ ここまで 至って 順調である・・
最高出力や 最大トルクは 重要だが、何と言っても 空燃比・・ そこに拘る・・
陽が落ちだしても、ダイナモ室からの 測定音は 消える事がなかった・・
夜になっても、変わる事なく 何度も何度も、ダイナモは回った・・
そして確実に・・ 数字は 見えて来ている・・ 畔柳の目にも、輝きが・・
どうやら少しは・・ 期待して 良い様だ・・