「レースに 携わっている 店こそが、本当に技術の ある店でしょう・・」 と、
古くから フリーライターを 務めている N氏は、実際に そう 語った・・
その言葉に、実感と 重さが あった事を、 私 中村は、忘れる事が出来ない・・
カスタム・チューニングを、日々 生業としている 私達に とって、レースとは・・
フィードバックに 欠かせない もので在り・・ 同時に 過酷な試練でも 在るのだ・・
2013年 10月9日・・
深夜の、筑波サーキット ゲート前・・
体力 気力・・ 共に 疲れ果てていても・・ 次々と試練は やって来る・・
夢・・ 妄想・・ 全てを 現実と比較して、 その度に 目は 覚まされて行く・・
およそ5年間の 沈黙を破り、サーキットへの 帰還を 果たした、ゼッケン39番
RCM-240 Zレーサー NEW1号機と、サンクチュアリー 本店 レーシング・・
5月の 復帰デビュー戦を 終えても、時間との戦いは 相変わらず 続いていた・・
遡る事・・ 今から ひと月前・・
連日続く 過密業務の 中で、合間を取って 向き合う・・
一般作業や RCMの お客さん達を、犠牲には出来ない 訳だから、仕方ない・・
とは言え・・ 当然 疲労感が、解消する事はない・・ 溜まる一方だろう・・
溶接機の前で エンジンを 組む事には、もちろん 意味がある・・
出来ると思える事に 果敢に 挑戦するのは、若者の特権で あるかの如く・・
先の大会で、苦しい戦いに なってしまった 要因の一つが、エンジンパワーだ・・
畔栁を筆頭に、セカンド世代が 初めて挑んだ 空冷Zの、チューニングエンジン
結果は 残念な数字・・ 後軸126馬力と 言う、およそ 戦えるものではなかった・・
最も、かつて ファースト世代と 呼ばれた、先輩達が 残して行ってくれた、練習用の
エンジンも、後軸126馬力 であって、そこは奇遇にも 同じだった事が 判明・・
この 練習用エンジンこそは、2007年10月の 大会で、優勝した時の ものである
この事からも すなわち・・ 今日、ハイレベル化を 果たした、T・O ・T の・・ 殊に
ハーキュリーズと S・モンスター EVOの、2クラスに おいては、126馬力と 言う
非力なパワーでは、全く持って 歯が立たない・・ と言う、結論がわかる・・
昔なら 何とかなった・・ 今は どうにもならない・・ これが 現実で、あろう・・
サンクチュアリー本店の、セカンド世代達が 挑んだのは、もう 10馬力載せ・・
今のレベルに 対応するべく、更なる進化への 挑戦を、試みているのだった・・
ヘッドカバーを 締め付ける、メナカイト チタンボルト・・ 軽さに だって、拘る・・
真夜中まで続く 作業・・ 明日も普通に 仕事なのだから、きつくない訳は ない・・
もう少し・・ 自分達の 身の丈に合った クラスに、 エントリーしたかった・・
おそらくは、本音であろう・・ ここは 中村にも、反省する点が 大いにある・・
それでも 成り行き上、 空冷最高峰クラスで 戦う事に なってしまったのだから
彼らをそこに、放り出すしかない・・ 厳しいクラスなのは 承知の上で だ・・
むしろ・・ 空冷最高峰クラスに エントリーしている事を、誇りと思え・・
そして・・ 空冷Zと 言う、今となっては 非常に厳しい ベースマシンで 挑む事・・
まだ 公式の記録として 残せていない、ノーマルフレームベース 空冷Z による
一周、59秒台を目指す事を、もっと 誇らしげで・・ 挑んで もらいたいのだ・・
懸命に仕上げた 新しい NEWエンジンの、シェイクダウン・・
台風の接近が 気になりながらも、早朝の筑波は、晴れの兆候を 見せていた・・
39の挑戦・・ Round ‐ 2 の、火ぶたが 切られる!・・
およそ 5か月ぶりに パドックに入った、セカンド世代達による 前大会への
雪辱戦が 今、 始まろうとしていた・・
この数か月間・・ 毎日の通常業務を こなしながらも、必死に 造り上げて来た
NEWエンジンに 期待が昂る・・ 殊に 畔柳は、人一倍の想いが あるだろう・・
ここに至る、10日ほど前の 事・・
中央自動車道を ひたすら・・ ただ ひたすら、西へと移動する・・
NEW1号機を、積んで・・ アキオの元へ・・