最終形態としての、17インチホイール専用 フレーム・・・
それはおそらく、空冷Z系シャシーに 長く携わって来た エンジニアにとって
誰しもが一度は 想い描いたフレームであり、絶対的な進化形態と 言っても
過言ではない 手法でした・・・。
重要な要素は、何と言っても フレーム ジオメトリ・・・
これがZ系の、ノーマルフレーム・・・
1970年代当時としては 斬新なフレームで、前後ホイールサイズは 19、
あるいは 18インチホイールの採用を 前提としたもの・・・
フレームを取り除き、T字型治具で ヘッドパイプとピボットを 繋げた状態・・・
ノーマルフレームは ヘッドパイプがエンジンから かなり遠い位置にあり
また スイングアームのピボット位置は、高い位置に 設定されていました。
対して、US‐RCM A16 フレーム・・・
ヘッドパイプの径が 大径化されていたり、ピボットが 総削り出しブラケットに
なっているなど 相違点はありますが、コンパクトなのが よく わかります・・・
どちらもエンジン位置は そのままに、同じ条件での 比較で
エンジンを基準に ヘッドパイプは、25mmバック 30mmローダウン。
ピボットは Φ16 から Φ20に 大径化し、同時に 10mmのローダウン。
このジオメトリこそが 空冷Zの17インチホイール化を、更に高い段階へと
引き上げる 最大要素で、US‐RCM A16フレームの 特徴でもある・・・
では・・・ ここに至るまでの 経緯とは、何だったのか・・・
ジオメトリを裏付ける 経験も含めて、紆余曲折があった事は、確か・・・
そんな中、最も大きな きっかけと 言うなら・・・
やはり、Zレーサー 2号機の 存在・・・
狙ったラインを 無理なくトレースし、クルリと向きを変えて 脱出する・・・
当時上田も しきりに 「コンパクトに 回れるだよねぇ」 と、連呼していました。
今まではノーマルフレームに、補強等の加工を施して 17インチホイール化に
対応して来ましたし、実際 この事自体が 問題なのではありません・・・
事実、ノーマルフレームベースの Zレーサー1号機は、筑波サーキットを
59秒913で 走り切っているし、ストリートにおいても Z系RCMの 多くは
ユーザーの期待に 応えた仕上がりですから、別段 問題点とは 言えず・・・
それでも・・・
あの コンパクトで軽快な旋回性能を、空冷Zに 与える事が出来たなら・・・
真に17インチホイールと 融合した 空冷Zを、垣間見る事に なる・・・
その世界観を知れば、かなてから ささやかれ続けてきた あの言葉・・・
「Zのノーマルフレームは 結局のところ、最後は 何をやってもダメ・・・」 が
いよいよ 真実味を帯びて来ると 言わざる得ないでしょう・・・
より高性能な Zを 追求するなら、最終領域に突入する事も いとわない・・・
例えそれが、禁断の果実 だったとしても・・・
志は、 空冷Z RCMの 最登頂部 構想。
これこそが 革新 RCMプロジェクトの 根幹であるから・・・