11月10日開催のテイストオブツクバ Sモンスターエヴォクラス
決勝まで 残り2ヵ月と差し迫って来ていた9月11日のコース走行。
完全なるゼロスタート状態のZレーサー3号機を あと2ヵ月で
仕上げなくてはならないから、その緊張感は尋常ではない・・・
ようやく事実上のシェイクダウンとなった この日、取り組まねば
ならぬ 山の様な量の課題に向き合って ピットワークが開始・・・
ここまでの遅れを取り戻すが如く、精力集中したセットアップが
進行していた。
國川は 開口一番 「一部マップに問題あり」と語る。
7000rpmから上はきれいに付いて来るが 5000rpm~7000rpmを
使うインフィールド領域で一番欲しい所が スロットルの急開に対し
機敏に反応してくれない・・・
また、ストレートで車速を載せている時に わずかでもスロットルを
戻そうものなら急激にガクーン!と減速してしまう様な傾向があり
「まずはマップ!」と 声を荒げた。
PCを接続して インジェクションマップを変更。
実走行して 初期設定から変更が必要になるのは、むしろ必然で
別段 おかしな事ではない・・・
セッティングする為に 今日こうして、ここにいるのだから。
國川は黙々と走る。
そのスタイルは至って冷静であったが、言い換えるなら これは
全開走行していないが故の姿であり、セットアップだけに集中して
取り組んでいるのが見てとれる。
この日のもう一つの課題であるファイナルも 慎重に、調べる様に
コーナー間を繋いで行き。
まずは一本目の走行 終了。
一本目の走行から今日のテーマは、完全にファイナルと燃調マップ
のみにテーマを絞り込む事となった・・・
まだ全く攻め込めていないだけに、車体姿勢やサスペンションに
至れないと言うのが実情だ。
すぐに2本目に向け 各々が準備に入る。
ドライブ側は18Tのまま、ドリブンを小さくしてファイナルを
ロングに変更。
ライダーはスロットル操作でマシンを動かしているから、ここは
TPSベース重視でと 誠太郎は切り替える。
2本目の走行開始。
ここもセットアップのみにと、確固たる姿勢でコースイン。
高剛性なフレームが故に、車体に走るバイブレーション対策や
サスペンションのセットなど 手を付けたい課題はいくつも
あったが、それでもひたすら 燃調マップとファイナルにのみ
焦点をあてて試みる走りである。
ピットインの回数も増え出し、にわかに慌ただしさが増した。
ここのロスタイムが、致し方ないとは言え 手痛い・・・
2本目の走行時間が終了し、最後の走行枠を走る前に ある程度
見えて来ていたセットアップを ピットエリアで施す。
ドライブスプロケットを 19Tに変更・・・
これで最終減速比は 、この日のセットの中で 最もロングに。
3本目の走行へと向かった!
どうやら今日 一番良さそうな手応えではないだろうか。
コーナー立ち上がりで あきらかに、マシンに荷重が乗り出して
いるのが 見て取れるようになっていた。
サンクチュアリー本店レーシング 真サード世代達も、ここに来て
各々 何を気にして何に配慮すべきなのか、お互いが確認し合う。
ライダー國川浩道と 始めて交わしたピットコミニュケーションに
より、流れが掴めつつあるのだろう。
当の國川はと言うと、変わらず黙々と詰め寄るストイックな走りを
続けている・・・
特にこの場で 周囲を驚かせる訳でもなく、ストレートを全開で
引っ張る事なく 直線区間で抜かれても、これはレースではないと
言った、クレバーな走りだ。
延々とラップタイム1分2秒台で 何かを見つけようと考えながら
流し続ける走り・・・
今は収穫を掴むが如き、まだその時ではないと言った 危な気のない
セットアップに徹し続けた ライダーの姿を見た。
残された時間は 少ない。
今は悩み 迷走しながらも、決勝に向けてベストコンディションを
築く事が、國川を始め 真サード世代の目標でもあり、それは今日
始まったばかりである。
気が付けば、油温は142度・・・
日中の気温が30度前後で 極めて湿度も高い環境であったから
充分おこり得る現象だが、これも要対策課題の一つだ。
燃調マップは 随分と良くなって来ている。
だが まだベストではないし、今日のエンジンは急遽間に合わせた
ノーマルシリンダーヘッド仕様だから、この後 本来目指していた
スペックへと戻って行く工程の中で、その都度マップのセットは
繰り返されて行く事になるだろう。
こうしてこの日の、全ての走行枠を走り終えた・・・
奇抜な展開は 特になかったが・・・
裏を返せば 狙うべき遥か高き頂きへの難関さを 大いに連想させられ
段階を経て階段を昇りつめて行く 第一歩であったのだと感じる。
いずれ近い内、國川浩道の 闘志に満ちた走りを見る事になるだろう。
水冷最速 ハーキューズマシンとの混走レースである以上、月並みな
存在であっては戦えない・・・
ストレート競争になったのなら、間違いなく まるで勝負にならない
エンジンパワー差なのだから、マシンの完成度・熟成度は より完全で
あるべきだ。
とは言え、歩み始めたばかりの道・・・
急がなければいけないが、焦る事は禁物だろう。
だが 何はともあれ、個人的に一番嬉しかったのは
Zレーサー3号機が現実に走る その姿を見れた事である。
何ものにも勝る感動があったのは 確かだ。
ゼッケン39 最後の挑戦・・・
11月10日の決勝まで、あと2ヵ月。