サンクチュアリー本店レーシング、ゼッケン39 最後の挑戦。
現時点では完成率80%ほどの状態ですが・・・
ここでZレーサー3号機を 正式にお見せしたいと思います。
RCM USA A16R、ZレーサーⅢ (通称3号機)
Zレーサー2号機から大きく改良を施された Newフレームは
前後17インチホイールに最適合したジオメトリで、理想的な
シャシーディメンションを実現した A16の1R9Sフレーム。
2007年の戦いから 2号機フレームの欠点を徹底的に洗い出し
高い完成度で新生した2016年式のオリジナルフレームである。
テイストオブツクバ 空冷最速 ス-パーモンスターEVOLUTION
クラスに再び参戦するべく搭載されたパワーユニットは、拘りの
空冷DOHC2バルブ4気筒、KZ系エンジン。
歴代3代目となる このZレーサーⅢこそ、サンクチュアリーの
空冷Z系でのレース活動において 最後を飾るレーサーだ。
ZレーサーⅢのパイロットは かつて1号機、そして2号機の
ライダーを務めた 上田隆仁選手にかわり、新たに国際ライダー
國川浩道選手のライディングで 限界への挑戦へ臨む ・・・
未完成とは言っても 残す課題はエアーインテークダクトの改良と
フロントマスク回りのリファインに シート着座面のハイト調整で
走行するのに大きな支障はなく シェイクダウンは済ませたのだが
予定していたカムシャフトへの変更や車体の軽量化など まだまだ
課題は多々あって、あくまでも未だ【3号機 Version1】と 言う
段階である。
同じ空冷エンジンでも、どうせなら1990年代に生産された
新しい年式の空冷エンジン車両で望めば良かったのでは? と
周囲から問われる事もありました・・・
それは確かに そうでしょう。
だがこれまでの、一連のZレーサーでのレース活動に終止符を打つ
ために造られた最終走者なのだから、より高年式の空冷エンジンで
臨む事は 選択肢としてない・・・
どれほど不利とて、あくまでも空冷Zのエンジンで戦う・・・
スーパーモンスターEVOLUTIONクラスでレコードタイムを叩き出し
空冷最速クラスを制する事が、ゼッケン39 最後の挑戦であるから。
基本設計は RCM USA A16に準じており、その事からも
吸気系には フューエルインジェクションを採用・・・
ZX10Rの純正φ43スロットルボディをシリンダーヘッドに
ダイレクト固定できる様、インテークマニホールド部を溶接で
肉盛りをしてから 成形・・・
同時にインシュレーター取り付け面の角度を わずかに変更して
ボディを弱ダウンドラフトな角度にし、吸気効率向上を狙う。
剥き出しのラウンドオイルクーラーコアからも 連想される通り
エンジンの冷却は重要視しているパートである・・・
コア側面に固定されたエアーインテークダクトも、シリンダー
ヘッドの中2気筒に走行風を誘導する為のもので、ここは再度
形状を見直して行く予定だ。
空冷Zが、水冷最速クラス ハーキュリーズマシン達に混ざり
上位を目指すとなると、突き詰めたエンジンが絶対に必要で
それは自ずとブローの確立を上げる事でもあるから 耐久性に
配慮した構造は必須科目である。
戦えるエンジンがあり、ライフへの配慮も成されている事・・・
その上で 更にもう一つ、90年代に生産されたメーカー車両の
シャシーと70年代の生産である空冷Zのシャシーでは その設計に
おいて 絶対的に大きな性能差があると言う点を克服せねばならず。
負ける事のない車体性能が どうしても必要だから、17インチ
ホイールとベストマッチングしている高性能フレームの存在は
欠かせないものであり、ラップタイム1分を切った 更なる先を
目指す戦いとなれば、それは尚の事である。
セットアップされてないシャシーは走らないが、セットアップを
しても良くならない素材も またダメであるから、採用したパーツは
拘りぬいて 厳選されたものばかり・・・
ホイールは当然、O・Zレーシング製 マグネシウム鍛造 CATTIVA。
OHLINS製 FGRT倒立フォークは ZZ-R1400用を流用。
Brembo製 CNCラジアルマウントキャリパーに、ディスクは
SUNSTAR製 ワークスエキスパンドローターを採用して 今現在
最も信頼できる、最も高性能と思える組み合わせである。
リアのパーツ構成もフロントと全く同じで、肝心なタイヤには
ピレリ ディアブロスーパーコルサ V-Ⅲを履かした。
車体重量が重く、トルク型の空冷エンジンマシンである事からも
3号機ではリアタイヤのサイズに 200を奢っている。
誠太郎 渾身のアルミタンクは、板金と溶接での製作による逸品。
A16Rが本来 進むべき方向のスタイルで造られたタンクには
内蔵式のフューエルポンプが装備。
シングルシートは、TOMO-FRP製 A16R仕様・・・
Zレーサー1号機、2号機、そしてこの3号機へと受け継がれた
サンクチュアリー本店レーシング、伝統のフォルムである。
旧Zレーサー1号機は 2006年の転倒で大破し、2014年に
New1号機が 公式59秒台ラップを達成して幕を閉じたが・・・
2007年にデビューしたZレーサー2号機は、2008年の
大会まで スーパーモンスターEVOLUTIONクラス 2年連続にて
優勝しているものの、タイムは0秒フラットで止まったままに・・・
やがて、突如として中断されてしまった 2号機のレース活動。
その理由は複雑で、裏では様々な人間模様があり・・・
それぞれのエゴと思惑が入り交ざったが故の、無念の中断であった。
だが 今こうして現実に3号機を見ていると、いよいよ再開すると
言う事に・・・
思わず、こみ上げて来る 高揚がある。
あれから随分と時が経ったし、自分もだいぶ 歳を取ってしまった。
それでも2号機のレースを この3号機が引き継ぐ事になったのは
突如失った かつての続きを見たいと、願っていた想いが実現する
事であるのだから・・・
ここまで迷いながらも、ようやくの再開に対し 感無量である。
あの日 途切れたままになった、その先が見たい・・・
最後の頂上決戦に挑むべく、しんがりとして たすきを託され
過去 経験した事ない激しい戦いに臨む、サンクチュアリー史上
最強・最後の Zレーサー3号機。
目指す頂きは遥かに高く、決して容易な道ではない・・・
空冷最速の座をかけた 真の決着をつけるのだから、これから
苦難の連続であろう。
ゼッケン39 最後の挑戦。
今はただ、サンクチュアリー クライマックスの章に相応しき
エンディングへと繋がる事を祈り レース活動の成功を願っている。